不動産売却の
お役立ちコラム

事故物件を売却するときの告知義務とは|告知事項や対象期間などを解説

「所有している物件が事故物件になってしまった」そのような場合、売却時に最も気をつけるべきなのが「告知義務」です。次の買主に対して、どこまで事実を伝えるべきなのか、いつまで伝えればよいのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。曖昧な知識のまま売却を進めると、契約解除や損害賠償といった重大なトラブルに発展する恐れがあります。この記事では、告知義務の定義から具体的な対象範囲、違反時のリスクについて詳しく解説します。正しい知識を身につけ、安全な取引を目指しましょう。

事故物件売却時における告知義務とは

告知義務とは、不動産の売主や仲介を行う不動産会社が、契約を締結する前に買主や借主に対して、その物件にある「瑕疵(かし)」を伝える義務のことです。瑕疵とは、物件のきずや欠陥のことを指します。買主・借主が事前に物件の瑕疵を知っているか否かが、物件契約の判断に影響を与えると考えられているため、告知義務が存在しています。

不動産の瑕疵には「物理的瑕疵」「環境的瑕疵」「法律的瑕疵」「心理的瑕疵」の4種類がありますが、事故物件において問題となるのは「心理的瑕疵」です。心理的瑕疵とは、その場所で生活することに対して、多くの人が心理的な抵抗感や嫌悪感を抱くような事柄を指します。具体的には、物件内や近隣で発生した自殺、他殺、事故死などがこれに該当します。売主には、これらの心理的瑕疵となる事実を隠さず、正直に告知する義務があるのです。

事故物件売却時に告知義務が発生するケース

どのような死因や状況であれば告知義務が生じるのか、判断に迷う方も多いでしょう。国土交通省が定めた「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」に基づき、告知が必要なケースとそうでないケースを整理します。自身の物件が該当するか確認してみてください。

告知義務が発生するケース

具体的に告知義務が発生するのは、以下のケースです。

  • 他殺(殺人)
  • 自殺
  • 事故死
  • 火災による死亡(焼死)
  • 原因が明らかでない死亡
  • 遺体が長時間放置され特殊清掃が必要となった自然死・事故死(孤独死)
  • 集合住宅で通常使用される共用部分での事案
  • 買主・借主から問われた場合
  • 社会的な影響の大きさなどから、買主・借主が把握しておくべき特別な事情があると判断された場合

なお、特殊清掃とは、遺体の痕跡や染み付いた腐敗臭を除去するために、表面的な掃除だけでなく、専門的な除菌・殺菌やオゾン脱臭までを行う清掃作業のことを指します。

告知義務が発生しないケース

一方で人が亡くなった事案すべてに告知義務があるわけではありません
以下のケースの場合、告知義務の対象になります。

  • 老衰や病死などの自然死
  • 転倒や入浴中の溺死といった日常生活の中での不慮の事故死
  • 隣接住戸や集合住宅で日常使用しない共用部分での事案
  • 賃貸物件の場合は該当する事案でもおおむね3年経過した場合

ただし、自然死や不慮の事故死であっても、発見が遅れて特殊清掃が必要になった場合は告知しなければならない点には注意しましょう。

事故物件売却時における告知義務の対象期間

物件の契約には賃貸契約と売買契約があり、それぞれ告知義務が継続する期間の考え方が大きく違います。ここからは、それぞれの契約形態における告知期間の目安と注意点について解説します。

賃貸の場合

事故物件を賃貸に出す場合、国土交通省のガイドラインでは事故発生からおおむね3年を経過すれば原則として告知義務はなくなるとされています。ただし、例外も存在します。借主から直接問われた場合や、事件の周知性が高く借主が知っておくべき特段の事情がある場合は、期間に関わらず告知が必要です

また、義務がある3年の間に一度入居者が決まり、その人が退去したとしても、期間内であれば次の入居希望者への告知義務は消滅しません

社会的影響が大きい凶悪事件などの場合も、3年経過後も義務が継続することがあります。後のクレームリスクを防ぐためには、期間経過後であっても借主に告知しておくのが無難でしょう。

売買の場合

売買契約においては、告知義務が無くなる期間の目安は設けられていません。過去に何度も売買が繰り返され、所有者が変わっていたとしても義務は継続します。また、建物を取り壊して更地にした場合でも、その土地で過去に人が亡くなったという事実は消えないため、土地の瑕疵として必ず告知しなければなりません。

事故物件売却時における告知義務のある事項

国土交通省のガイドラインでは、以下の4点を告知すべき事項として挙げており、売主は、これらすべてを買主や借主に正確に伝える必要があります。

  • 発生時期…事故あるいは事件がいつ起こったのか(いつ特殊清掃が行われたのか)
  • 発生場所…事故あるいは事件はどこで起こったのか(特殊清掃でどこを清掃したのか)
  • 死因
  • 特殊清掃の有無…特殊清掃が行われたかどうか

事故物件売却時における告知義務を怠った場合のリスク

告知義務を怠ると、後々取り返しのつかない事態を招く恐れがあります。事故物件であることを隠して契約を結ぶ行為は、法律上の契約不適合責任を問われる重大な違反です。ここでは、告知義務違反によって生じる具体的なリスクについて解説します。

契約解除

買主や借主が「事故物件だと知っていれば契約しなかった」と主張し、それが認められた場合、契約そのものを解除される可能性があります民法第564条に基づき、買主は契約の解除権を行使できるのです。売主が重要な事実を故意に隠していたとなれば、相手方の信頼を裏切る行為となり、契約の取り消しを請求されます。もし契約が解除されれば、売主や貸主は受け取った代金をすべて返還しなければなりません。一度売却した物件が戻ってくるだけでなく、トラブルがあった事実が悪評として広まるリスクもあります。そうなれば、新たな買い手を見つけることは一層困難になり、資産価値や価格を大きく下げる要因となるでしょう。

損害賠償請求

告知義務違反をしたまま売却や賃貸を行うと、「契約不適合責任」を問われ、損害賠償を請求されるケースがあります。契約不適合責任とは、引き渡された目的物が契約内容と適合しない場合に売主側に発生する責任のことです。民法第415条には、債務不履行による損害賠償が定められています。買主や借主は、心理的瑕疵を知らされなかったことによる精神的苦痛や、物件の資産価値減少分などを損害として請求されてしまう可能性がある。具体的には、再度の引っ越しにかかる費用、慰謝料、弁護士費用などが該当します。請求額は事案の悪質性や損害の程度によって変わりますが、高額な賠償を求められることも少なくありません。

代金減額請求

告知義務違反が発覚した場合、物件価値の下落分として代金の減額を請求されることもあります。この減額請求権は民法第563条で定められています。本来であれば事故物件として安く取引されるべきものが、通常の価格で取引されていたことになるため、その差額分を返還せよという主張です。どの程度減額されるかは、当事者間の交渉や裁判所の判断によって決められます。売買の場合は代金の一部減額、賃貸契約の場合は家賃の減額交渉に発展する場合が考えられます。

事故物件を売却する際に告知義務を果たすためのポイント

事故物件の取引は慎重な対応が求められますが、適切に行えばトラブルを防ぐことは可能です。誠実な告知は、結果として自分自身を守ることにもつながります。売却活動をスムーズに進め、契約後の紛争リスクを最小限に抑えるために、売主が意識すべき2つのポイントを紹介します。

告知は口頭に加えて書面でも行う

契約後に売主と買主(借主)の間でトラブルが発生しないように、告知内容は必ず書面に残しておきましょう。告知書や重要事項説明書の特約事項などに詳細を記載し、双方で確認・押印後、記録として保管しておくことが重要です。書面で明確に伝えることで、情報の伝達漏れや誤解を防ぐことができます。また、透明性の高い対応を行うことで、買主(借主)からの信頼を得やすくなるため、書面での告知は強くおすすめします。

故人のプライバシーに配慮する

告知義務があるといっても、故人の尊厳や遺族の心情には十分な配慮が必要です。故人のプライバシーを守り、過度な詳細情報の開示は避けましょう。例えば、故人の名前、具体的な年齢、家族構成、勤務先などの個人情報は伏せるべきです。また、事件や事故当時の具体的な死の態様や、発見時の状況などを事細かに周りに伝えないようにしましょう。万が一個人情報が漏れてしまうと、遺族からのクレームなど別の問題に発展してしまう恐れがあります。特に、ニュースなどで全国的に報道された社会的影響の大きい事案の場合は、情報の拡散リスクがさらに大きくなるので注意が必要です。

まとめ

今回は、事故物件の売却における告知義務の重要性や具体的な範囲、違反時のリスクについて解説しました。告知義務には「心理的瑕疵」が深く関わっており、状況に応じた適切な対応が求められます。特に売買の場合は、告知義務に時効がなく、将来にわたって責任を負う可能性がある点に注意が必要です。もし、個人への売却でトラブルへの不安を感じるようであれば、不動産買取を利用するのも一つの手です。専門業者による買取であれば、告知義務に関するリスクや精神的な負担を大幅に軽減できます。

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